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お役立ちコラム
OEMメーカーとは?OEMの意味や発注の注意点を解説
更新日:2023.05.24
OEMメーカーとは「OEM商品を製造する企業」のことで、近年、化粧品やアパレル、家電業界などの多岐にわたる業界でみられる、製造メーカーの形態です。今回はOEMメーカーの概要や生産を発注した際のOEMの流れや、選び方のポイントなどを解説します。
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目次
OEMメーカーとは
・そもそも「OEM」とは
・OEM商品」とは
・ODM・PBとの違い
OEMメーカーのサービス内容一例
・ノウハウと技術を駆使した商品の製品開発
・原料と資材の調達
・商品の製造やパッケージ対応
・商品説明会や顧客対応などのアフターフォロー
OEM商品の製造委託が多い業界
OEMの流れ
・サンプル製造・商品改良
・資材発注の検討
・包装資材の選定・テスト
・処方・容器決定と最終見積もり
・アフターフォロー
小ロット生産は可能?OEMメーカー依頼時の最低ロット数
OEMメーカー選びの3つポイント
・作りたいものを作ることができる技術があるか
・最低ロット数が適切かどうか
・サポートが充実しているか
OEMメーカーに委託する際の費用の考え方
・化粧品の場合
・アパレルの場合
OEMメーカーに委託する際の注意点
・製造スケジュールを把握・管理しておく
・商品原価を極力抑える
OEMメーカーをお探しなら
OEMメーカーとは
OEMメーカーとは、「OEM商品を製造する企業」のことで、化粧品やアパレル、家電業界などの数多くの業界で一般化している、製造メーカーの形態です。
ここではそもそも「OEM」とは何か、また「OEM商品」とはどういった商品を指すのかを解説していきます。あわせて、OEMと混同しやすいODMやPBとの違いも掘り下げていきます。
そもそも「OEM」とは
「OEM」とは、他社のブランド製品を製造すること、あるいは他社のブランド製品を製造する企業を意味する言葉です。
「Original Equipment Manufacturing」の略語で、「Original(本来の)」「Equipment(製品)」「Manufacturere(製造業者)」の3つの用語の頭文字から成っています。
これまでの製造業においては自社工場を持ち、企画から製造、販売まですべてを自社で行うのが一般的でした。
しかし、消費者のニーズの多様化を背景に、従来の大量生産方式では価格競争から脱却し、利益拡大を図るのは難しくなってきています。また、従来の生産方式では、工場の維持費や人件費などのコスト負担が大きいことも課題とされます。
そのような状況下で、普及したのがOEMです。生産を委託することで工場を持つリスクをなくし、市場のニーズの変化や景気動向に合わせて、商品の生産をコントロールできる点がメリットです。
OEM生産には「開発→生産→販売」のうち「生産」のみを受託するケースと、「開発 → 生産」を担うケースの2つがあります。
OEMについての詳細は、こちらの記事「OEMとは?」をご参照ください。
「OEM商品」とは
「OEM商品」とは、受託側のメーカーが製造した他社のブランド製品のことです。
たとえば近年の洋服の多くは、Made in 海外のタグが付いています。アパレル業界においては縫製を海外の工場に委託している企業の割合が高く、日本で縫製を行っている洋服を探すのが困難といえるほどの状況です。
OEM商品は洋服以外にも、化粧品やヘアケア・スタイリング料、家電、自動車など身近にあふれています。
ODM・PBとの違い
OEMと混同しやすい「ODM」「PB」の定義は、それぞれ以下のとおりです。
ODM | 受託側メーカーが製造にくわえ企画、製品開発、デザインまで行う「Original Design Manufacturing」の略語 |
PB | プライベートブランドと呼ばれる、小売店や卸売業者が企画販売を行うブランド(小売店や卸売業者が受託側メーカーにOEM生産を委託したもの) |
OEMとODMで共通しているのは、ブランドがOEMメーカーに商品の生産を委託するという点です。ただし、OEMは通常、ブランドが開発した商品の製造のみを担います。それに対し、ODMは企画デザインの段階から請け負う点が主な違いです。
一方、OEMとPBは、結論からいうと製造形態はほぼ同じですが、委託元に違いがあります。OEMは化粧品やアパレルのほか、家電や自動車など幅広い業種で利用されてます。それに対し、PBはコンビニエンスストアやスーパーをはじめとする、小売店や卸売などの流通業者が企画しているケースが一般的です。
OEMとODMの違いとは?それぞれの意味やメリット・デメリットも解説
OEMメーカーのサービス内容一例
OEM生産の形態は大きくわけて2種類あることは、すでにお伝えしました。1つは委託元の企業が企画した製品をOEMメーカーが製造する形態、もう1つはOEMメーカーが製品企画を行い委託元企業に提案する形態です。
ここからは、例として、ヘアケア製品を中心に製品企画から製造までを行う中野製薬のOEM/ODMの以下のサービス内容に沿ってご紹介します。
- ノウハウと技術を駆使した商品の製品開発
- 原料と資材の調達
- 商品の製造やパッケージ対応
- 商品説明会や顧客対応などのアフターフォロー
ノウハウと技術を駆使した商品の製品開発
これまでの経験を踏まえた豊富なノウハウと、顧客ニーズをとらえた最先端の技術を駆使した製品開発を実施。
確かな製品開発力によって、多くのOEM製品の開発をサポートしております。
原料と資材の調達
数千種類もの原料と資材の調達を担うのは、購買部です。中野製薬では原料や資材がどこで生産されているかをすべて把握し、天災が発生した際は速やかに生産状況の確認をします。
また、主要な資材の確保先は1社に絞らず、同じものを2社から調達できるようにしています。なんらかの状況によって1社が生産できなくなった場合でも、購入先を確保するためです。
商品の製造やパッケージ対応
指図書と呼ばれる製造レシピをもとに、1,000種類以上の原液を製造します。個別の容器に充填される前の中身は、製品規格よりも厳しい基準の製造企画によって検査されています。これは、常に均一な製品をつくるという、中野製薬の使命に基づいた工程です。
パッケージ対応では、「次工程はお客様」のスローガンのもと、不良品を生み出さないように取り組んでいます。ラベル貼りは機械でも誤差1ミリのレベルで行えるものですが、その1ミリに妥協することなく、必ず人による検品を重視しているのです。
商品説明会や顧客対応などのアフターフォロー
中野製薬ではOEM製品を販売したらそれで終わりではなく、商品説明会や顧客対応などのアフターフォローを実施しています。委託元企業の社員、小売店販売員を対象とした勉強会を行うことも可能です。
当該製品の開発経験が少ない企業からはこの勉強会に対して、「直接説明を受けたことで、精度の高い社内教育が実現し売り上げにつながった」といった評価を受けています。
【勉強会の内容の一例】
- 開発商品の説明
- 製品情報以外の業界のトレンド情報
また、商品企画において重要な社内決済に立ち会い、製品の説明を行うことも可能です。実際に製造や販売を行っているOEMメーカーから、その実績や製品の詳細まで伝えることで、スムーズな社内決済につながるケースは少なくありません。
さらに、消費者に響く使用方法の説明ポイントを提供するほか、小売店等で開発した製品を使ったデモンストレーションイベントを開催することもあります。
OEM商品の製造委託が多い業界
OEM商品の製造委託が多いのは、以下の業界です。
- 化粧品(へアケア・スタイリング料含む)
- アパレル
- 自動車
- 食品
化粧品やヘアケア・スタイリング料はOEM製造の割合が高い傾向にあります。化粧品やヘアケア用品の裏面表示を確認すると、製造元が異なることも少なくありません。知識と経験を持ったOEMメーカーに委託すれば、異業種からも参入できます。
OEM製造が一般化している業界としては、アパレル業界も挙げられるでしょう。アパレルOEM製造は、トレンドが目まぐるしく変化するアパレル業界の実状に即しているといえます。とくにOEMによって製造から納品までをパターン化し、リードタイムの短縮やコストの軽減が実現できる点が大きなメリットです。
詳しくは後述しますが、OEMは小ロット製造に対応可能なケースも珍しくなく、アパレルのECサイト販売に求められるフレキシビリティを備えています。
自動車業界も、OEMが進んでいることで知られています。見た目はまったく同じであるにもかかわらず、社名とエンブレムが異なる車を見たことがある方もいるでしょう。
OEMメーカーは、大きな販売力を持つブランドでも販売することで、製造台数を大幅に増やせます。委託側のメーカーは、工場の設備投資や開発投資をかけずに、自社にはない車種をラインナップに加えられるというメリットがあるのです。
また、食品業界でも良質な食品を取り扱う老舗企業が、OEMを通じて新しいビジネスチャンスを得る機会が増えてきています。たとえば、ある老舗酒造では酒に用いられてきた酵母が、植物発酵エキスとしてさまざまな製品に使われるようになりました。
OEMの流れ
OEMは基本的に以下の流れで行われます。
- 初回打ち合わせ
- サンプル製造・商品改良
- 資材発注の検討
- 包装資材の選定・テスト
- 処方・容器決定と最終見積もり
- アフターフォロー
それぞれの工程におけるポイントを、ヘアケア製品のOEM生産を行う中野製薬を例に挙げて、解説していきます。
1.初回打ち合わせ
発注元企業は、初回打ち合わせにてOEMメーカーに主に以下の希望を伝えます。
- 製品仕様・イメージ
- ターゲット層
- 数量
- 納期
- 予算
- ロット
事前に上記の内容をある程度整理しておくと、スムーズな打ち合わせにつながるでしょう。OEMメーカーは、委託元の希望を確認したうえで商品の仕様設計を提案するほか、設計概算価格や製造開始時期などを提示します。
2.サンプル製造・商品改良
OEMメーカーは仕様設計に基づき、小ロットでサンプル品を製造、発注元はサンプル品をチェックし、必要に応じて改良を続けます。中野製薬では、製品の仕様の最終決定に至るまで、何度も調整を重ねることも少なくありません。
発注元は、サンプル品が指示通りに完成しているかどうか確認することが重要です。この時点で仕様と異なる点を見落としてしまうと、いざ生産に入った段階でスケジュール遅延が発生する可能性があるため、注意が必要です。
3.資材発注の検討
OEMメーカーは、発注元企業がベンチマークした容器などに近いものを探し、サンプルを提出します。
デザインは発注元企業に版下を提出してもらい、候補の容器はOEMメーカーで充填テストなどを実施します。
4.包装資材の選定・テスト
包装資材の選定も必要です。化粧品であれば化粧箱や内箱、封印シールなどの仕様を決定します。さらに、各資材の表示内容について、各種法律を確認しながら薬事校正を実施します。また、候補に挙げられた容器の安定性や耐内容物テストも欠かせません。
新たに容器を作る場合は時間がかかるため、早くから準備を進めていきましょう。
します。
5.処方・容器決定と最終見積もり
OEMメーカーは処方や容器が決定した後、最終の見積もりを提出します。
発注元は、最終見積もりに記載されているロットや納品単価に間違いが無いかを確認し、問題がなければ発注を行います。
6.アフターフォロー
商品が完成した後、中野製薬が行うアフターフォローには、以下のようなものがあります。
- OEM製品のPRポイントを提供
- 商品勉強会の実施
どういった点が生活者に響くのか、使用方法の説明に重要なポイントをご提供します。
使用方法の説明時に、消費者に響くポイントを提供します。また、委託元企業の社員、小売店販売員を対象とした勉強会の実施も可能です。
小ロット生産は可能?OEMメーカー依頼時の最低ロット数
ロット数量とは1回で生産する製品数量のまとまりを指し、最低ロットとは、それぞれのOEMメーカーが対応可能な最小の単位のことです。商品によっても異なりますが、たとえば化粧品の最低ロット数は下記のようなイメージです。
一般的なロット数 | 3,000個程度 |
小ロット発注における最低ロット数(OEMメーカーや、製造条件による) | 数百個 〜 1,000個程度 |
小ロット発注のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 低予算から製造できる
- 在庫リスクを抑えられる
- テストマーケティングが実施できる
小ロットで発注する場合の最大のメリットは、低予算から商品を製造できる点です。通常のロット数の場合、その数が多いほど初期費用が高くなります。その点がネックとなり、OEM製造への参入を諦める企業も少なくありません。しかし小ロット発注であれば、まったくの異業種から新規参入するハードルも格段に下がります。
また、大量の在庫を抱えることは、赤字になってしまう大きな要因です。大ロット発注では数が多い分、大量の在庫を抱えるリスクが高まります。その場合、管理するための倉庫代なども必要になり、大きな損失となりかねません。しかし、小ロット発注であればそもそもの発注数が少ないため、抱える在庫数は少ないでしょう。社内に保管できる数にしておけば、管理倉庫の費用もかかりません。
テストマーケティングを実施できることも、小ロット発注のメリットです。化粧品を例に挙げると、地域限定の先行販売やノベルティの提供などが一般的です。テストマーケティングでの消費者の反応を踏まえて、そのまま追加発注をして本格的に販売するのか、改良を加える必要があるのかを判断できます。小ロット発注は、本格的に販売する前に商品の課題を把握できるため、OEMの始め方として有効といえます。
ここまで小ロット発注のメリットをお伝えしてきましたが、1つの商品あたりの製造コストが割高になり、商品開発の自由度が下がる点に注意が必要です。
また、OEMメーカーによっては大ロットでないと提供していない原料や容器があるため、小ロット発注では商品開発における選択肢が限られてしまう場合もあります。結果的に、他社との差別化が困難になる可能性もあることを考慮しておきましょう。
OEMメーカー選びの3つポイント
OEMメーカーを選ぶ際のポイントは、次の3つです。作りたいものを作ることができる技術があるか
- 作りたいものを作ることができる技術があるか
- 最低ロット数が適切かどうか
- サポートが充実しているか
OEMメーカーの選定は非常に重要です。ぜひこれらのポイントを重視して、自社に合ったOEMメーカーを選びましょう。
1.作りたいものを作ることができる技術があるか
OEMメーカーを選ぶ際には、自社が希望する製品を作れる技術があるかという点を重視しましょう。たとえば化粧品の場合、アイテムの種類はスキンケアからメイクアップ、ヘアケア商品にいたるまで多岐に渡ります。
これらをオールマイティーに得意とする企業を見つけることは、現実的ではありません。とくに規模が小さなOEMメーカーであるほど、得意とする分野は限られる傾向です。また、一般的な製品は得意である一方で、難度が高い製品は苦手というメーカーもあります。
自社が希望する製品を作れる技術があるかどうかは、2回目以降のOEM生産を検討する際にも、必ず確認したいポイントです。1回目と異なる製品の製造を依頼する際、やり取りがスムーズであるという理由のみで同じメーカーを選ぶことは、避けたほうが賢明です。そのジャンルを得意とするOEMメーカーに依頼したほうがよいでしょう。
OEMメーカーを選ぶ際には、自社が希望する製品を作れる技術があるかという点を重視しましょう。たとえば化粧品の場合、アイテムの種類はスキンケアからメイクアップ、ヘアケア商品にいたるまで多岐に渡ります。
これらをオールマイティーに得意とする企業を見つけることは、現実的ではありません。とくに規模が小さなOEMメーカーであるほど、得意とする分野は限られる傾向です。また、一般的な製品は得意である一方で、難度が高い製品は苦手というメーカーもあります。
自社が希望する製品を作れる技術があるかどうかは、2回目以降のOEM生産を検討する際にも、必ず確認したいポイントです。1回目と異なる製品の製造を依頼する際、やり取りがスムーズであるという理由のみで同じメーカーを選ぶことは、避けたほうが賢明です。そのジャンルを得意とするOEMメーカーに依頼したほうがよいでしょう。
2.最低ロット数が適切かどうか
OEMメーカーが設定する最低ロット数が、自社にとって適切かどうかも必ず確認したいポイントです。先述のとおり小ロット発注は、初期費用や在庫を抱えるリスクを抑えられるメリットがあります。そのため、問い合わせをする時点で、自社が希望する小ロット発注にどこまで対応が可能かを聞いておきましょう。
OEMメーカーが最低ロットを「500本〜」と設定していても、実際にはその数に対応できるのは一部の製品のみだったというケースも少なくありません。
また、小ロット発注であるがゆえに、想定以上にコストが割高になってしまうこともあります。小ロット発注の可否だけでなく、小ロット発注をした場合のコストも確認しておきましょう。
3.サポートが充実しているか
OEMメーカーを選ぶにあたっては、サポート体制が充実しているかも重要なポイントです。
サポート体制には大きく以下の3つがあります。
- 初心者に対するサポート
- トラブルに対するサポート
- 輸出に対するサポート
OEM生産では、当該業界に対する知識が浅い状態で、まったくの異業種から参入してくるケースも珍しくありません。製品そのものに詳しくても、製造や販売にはさまざまな法律や規制が関わってくる場合は、対応が難しいことも想定されます。
こういった法律関連への対応にくわえ、業界動向やトレンドなどの情報を共有してくれると心強いといえるでしょう。
また、トラブル発生時のサポート体制が充実しているかどうかも重要です。顧客からのクレームが入った際に、自社では対処しきれない場合もあるためです。
さらに、輸出に対するサポート体制の有無も、チェックしておきたいポイントといえます。OEMメーカーによっては、輸出に対する書類を依頼しても、対応してくれないケースもあります。輸出を検討している場合は、必ずおさえておきましょう。
OEMメーカーに委託する際の費用の考え方
ここからは、実際にOEMメーカーに製品の生産を委託した場合の費用の考え方について、OEM生産が多い、化粧品とアパレルを例に挙げて解説します。
化粧品OEMでかかる費用は、主に「初期費用」「化粧品の中身」「外側」から構成されています。また、アパレルOEMの費用の内訳は「ボディ代」「版代」「加工代」からなることが多いです。それぞれ確認していきましょう。
化粧品の場合
化粧品OEMでかかる費用は、主に次の3つで構成されています。
- 初期費用
- 化粧品の中身
- 外側
なお、「初期費用」「化粧品の中身」「外側」の詳細は、下記をご参照ください。
初期費用 | ・サンプル品代 ・パッケージデザイン代 ・化粧品容器の版代 ・化粧箱の版代 |
化粧品の中身 | ・バルク代 |
外側 | ・容器代 ・ラベル代、化粧箱代 ・梱包代、配送代 |
初期費用は、はじめてOEMメーカーに委託するときにかかる費用のことで、リピート製造の際にはかかりません。初期費用のうちサンプル品代は、少量であれば無料とするメーカーも多いものの、個数や原料などによっては有料になることもあります。
化粧品容器の版代は印刷をする場合に必要な費用であり、化粧箱の版代とは、化粧箱の色数に応じてかかるものです。また、バルク代とは、個別の容器に入れる前の化粧品の中身のコストを指します。
「外側」と呼ばれる費用には、容器代やラベル代のほか、梱包代や配送代も含まれます。化粧品の容器は商品のコンセプトを伝える重要な役割を担い、費用としても大きなウェイトを占めるものです。材質には大きくわけて、比較的安く着色や加工がしやすいプラスチックと、高級感や重厚感を演出しやすいガラスがあります。
どの材質を選ぶかによって、価格が大きく変動するため、慎重に選択すべきでしょう。容器につけるキャップも、構造が複雑になるほど値段が高くなる点に注意が必要です。
なお、OEM化粧品のコストを抑えるためには、下記のような方法が有効です。
- 製品の中身はOEMメーカーの既存バルクで、容器のみ変更
- 処方はOEMメーカーの既存のものを基本にアレンジ
これらのケースでは、小ロットでも対応してくれる場合が多く、とくにテストマーケティング時に適しています。
アパレルの場合
アパレルの場合、OEMメーカーに委託した際にかかる費用の内訳は、基本的に以下のとおりです。
ボディ代 | ・自社ブランド製品のベースとなる既製品にかかる費用 ・無地のTシャツやトートバック代など |
版代 | ・文字やイラストなどをプリントする場合に型にかかる費用 ・はじめに作っておくとリピート製造時には費用がかからない |
加工代 | ・自社ブランド用に作成した版を使ってプリントや刺繍をする際の費用 ・生産数ごとにかかる |
たとえば無地のTシャツにロゴをプリントして、オリジナルのTシャツを作成する場合は、ベースとなるボディ代やプリントするための加工代は、生産数ごとにかかります。しかし、版代ははじめに作成しておけば、通常、リピート製造時には費用がかかりません。
そのほか、プリントをする際に使った色や色の数によってかかる色代や、タグを作成するためのタグ作成代など、OEMメーカーごとに設定している費用もあります。
生地から作成する場合は、サンプル縫製用と量産縫製用の生地代や縫製代がかかり、縫製代はどこの国で作るかで大きく変動します。200枚以上量産する場合には、海外生産がおすすめです。なお、量産費用においては、日本製は中国製品の2倍〜5倍以上することもあります。
そのほか、プリントや刺繍などの2次加工代も、縫製工賃と同様に海外製のほうがコストを抑えることが可能です。
アパレルのOEM生産にかかる費用は、とくに次の3つの要素で大きく変動することをおさえておきましょう。
- アイテム(シャツやジャケットなどの具体的なアイテム)
- Sku作成数量(色展開・サイズ展開別)
- 原産国(日本製・中国製など)
なお、Skuとは受発注や在庫管理を行うときの、最小の管理単位のことです。
OEMメーカーに委託する際の注意点
OEMメーカーに委託する際には、以下の2点に注意しましょう。
- 製造スケジュールを把握・管理しておく
- 商品原価を極力抑える
注意点をおさえて、できる限りトラブルを回避しましょう。それぞれの注意点について、解説していきます。
製造スケジュールを把握・管理しておく
OEMメーカーに委託する際は、製造スケジュールの把握や管理をしておくようにしましょう。
OEMメーカーの機械や原料、人的リソースなどには上限があり、いつでもこちらの希望通りの数を製造してもらえるわけではありません。ほかの企業からの製造依頼が殺到することにより、製造ラインが確保されず、結果的にリードタイムが長くなってしまうケースもあります。リードタイムが長期化すると、事業計画自体の見直しを余儀なくされるでしょう。
このような状況を避けるには、早い段階からOEMメーカーと発注を前提とした、下記のような調整を勧めておくことが重要です。
- 希望する製造数およびスケジュール
- 初回発注後の製造ラインの仮押さえ
この2点が共有されることで、OEMメーカーも速やかに製造スケジュールを組むことが可能になり、製造のリードタイムが長期化するのを防げるでしょう。
さらに、OEMメーカーに対して、以下のエビデンスを取っておくことも重要です。
- 納期を明記した発注書を発行しておく
- 業務委託契約を締結する
- メールなどの文面を残しておく
形式的な契約の形態を取らずに受発注を行っているOEMメーカーも、少なくありません。契約書を取り交わすことが理想ですが、状況に応じた対策を取っておくことが、トラブルの抑止力となります。
OEM契約とは?ライセンス契約との違いや契約書のポイントなどを解説
商品原価を極力抑える
原価を抑えることは利益を確保するための重要な要素の一つであり、そのためのポイントは以下の2つです。
- 相見積もりを取る
- ロット数とマージン率を意識する
どのような製品であっても、相見積もりを取ることが大切です。OEMメーカーによって原料の仕入れルートや製造工程はさまざまです。当然、原料価格の変動や調達スピードに差が生じるでしょう。
先述したとおり、OEMメーカーによって得意とする製品は異なります。得意な製品であれば、原価を抑えやすい傾向にあることを覚えておきましょう。
相見積もりを入手し費用の内訳を比較することで、原価設定の妥当性や値下げ交渉の余地があるかどうかを確認できます。
またOEM生産では、どのような製品であっても、とくにロット数とマージン率を意識することがおすすめです。マージンは粗利のことで「売上高-売上原価」、マージン率は「粗利÷売上高」という計算式で算出します。
原価を抑える観点からは、ロット数はある程度多いほうがよいです。ただし、原料の在庫数以上は確保できないため、ロット数を踏まえた原価を確認しておきます。
また、製造工程や原料の仕入れ価格からマージン率を想定します。マージン率を算出するためにも、相見積もりを取ることが重要です。
OEMメーカーをお探しなら
OEMメーカーとは「OEM商品を受注生産する企業」のことで、化粧品やアパレル、家電業界などの数多くの業界で一般化している、製造メーカーの形態を指します。
OEMメーカーを選ぶ際には、希望する製品を作る技術があるか、最低ロット数が適切かどうかなどの点を考慮しましょう。
中野製薬は、ヘアケアに関するOEM製品の生産を行っています。確かな技術や豊富な知見を活かし、お客様のさまざまな事業をサポートします。ぜひ「お問い合わせフォーム」からご相談ください。