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OEM契約とは?ライセンス契約との違いや契約書のポイントなどを解説
2023.10.12
OEM契約とは、自社商品の製造をOEMメーカーに委託する際に締結する契約のことです。製造過程の効率化を検討している方は、OEM契約のポイントや注意点を理解しましょう。本コラムでは、契約書に盛り込む条項や契約締結時の注意点など、OEM契約の基本を解説します。
目次
OEM契約とは
OEM契約とライセンス契約の違い
OEM契約と製造委託契約の違い
OEM契約を結んで商品を作る3つのメリット
1.オリジナルブランドの商品を作るハードルが低い
2.OEMメーカーのサポートを受けて商品を作ることができる
3.商品開発や販路開拓などに注力できる
OEM契約を結ぶ際の3つの注意点
1.製造に関する技術やノウハウを蓄積するのが難しい
2.OEM契約に下請法が適用される可能性がある
3.契約を継続する場合は、随時契約内容をチェックする
OEM契約書に記載すべき条項
製品の仕様
発注単位
返品条件
秘密保持
損害賠償
自社に合ったOEMメーカーの選び方
OEM契約を正しく理解してオリジナル商品を作ろう
OEM契約とは
OEM契約とは、自社商品の製造を委託し、自社ブランドの商標名やロゴをつけて販売するために締結する契約のことです。製造の委託側と受託側間で締結します。
そもそもOEM(Original Equipment Manufacturing)とは、化粧品の製造過程を専門のメーカーに委託することです。化粧品やアパレル業界など、多くの業界で広く活用されています。
OEMを活用することで、製造設備や技術、ノウハウがなくても、オリジナルの化粧品を作ることができます。
OEMの活用を考えている方は、OEM契約について理解することが欠かせません。
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OEM契約とライセンス契約の違い
OEM契約と混同しやすいのが、ライセンス契約です。
ライセンス契約とは、商標や特許といった知的財産権を、他社が利用することを許諾する契約のことです。知的財産権の利用を認める対価として、ロイヤリティを受け取ります。
たとえば、特許権によって保護されている自社の技術や、意匠権によって保護されているデザインを他社に利用させ、化粧品の製造・販売を許可する場合、ライセンス契約の締結が必要です。
OEM契約は、製造過程を外部に委託する契約であり、知的財産権は委託側に帰属します。
一方、ライセンス契約では、商品の企画や販売といった権利も他社に帰属するのがポイントです。
OEM契約と製造委託契約の違い
製造委託契約とは、委託側が受託者に対して、自社商品の製造・供給を委託する契約のことです。
OEM契約は、製造委託契約の一種といえます。
製造委託契約には、ほかにもODM(Original Design Manufacturing)契約があります。OEMでは製造過程を委託する一方、ODMでは、商品開発から製造までを一貫して委託するのが特徴です。ただし、業界によってはOEMメーカーが商品開発をサポートしてくれることもあり、業界によって両者の線引きは曖昧になりつつあります。
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OEM契約を結んで商品を作る3つのメリット
ここでは、OEM契約を締結して商品を作る場合の、委託側にとってのメリットを3つ紹介します。
- オリジナルブランドの商品を作るハードルが低い
- OEMメーカーのサポートを受けて商品を作ることができる
- 商品開発や販路開拓などに注力できる
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1.オリジナルブランドの商品を作るハードルが低い
OEMメーカーに製造を委託することにより、製造設備や製造技術、専門知識などがなくても、オリジナルブランドの商品を作ることができます。
自社で製造設備を用意するとなると、工場を建設する必要もあり、多額のコストがかかってしまうものです。
OEMメーカーに委託すれば、初期投資や製造コストを大幅に抑えられます。オリジナルブランドの商品を作るハードルが低く、新規参入もしやすいのがメリットです。
また、事業が軌道に乗って増産が必要な場合でも、自社で追加投資を行う必要がありません。
2.OEMメーカーのサポートを受けて商品を作ることができる
OEMメーカーによっては、単に製造を行うだけでなく、商品開発や販路拡大などもサポートしてくれる場合もあります。
専門知識やノウハウを活かし、プロの立場からアドバイスをくれたり、親身に相談に乗ってくれるため、新規参入する方にとっても安心です。
例えば、海外向けの商品開発実績が豊富で、海外で販売するために必要な手続きをサポートしてくれるOEMメーカーであれば、海外展開の準備を万全に進められます。
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3.商品開発や販路開拓などに注力できる
OEMを活用することにより、製造にかかる設備投資や人員を、商品開発や販路開拓といった他の業務に割けるのもメリットです。
自社で製造するとなると、製造設備に多額の費用を投じたり、製造部門に多くの人員を配置したりする必要があります。
OEMメーカーに製造を委託することで、これらのコストや人員を、収益の確保に直結するコア業務に割くことが可能です。コア業務に注力できるようになれば、企業のさらなる成長につながるでしょう。
OEM契約を結ぶ際の3つの注意点
一方、OEM契約を結ぶ際は、以下の点に注意が必要です。
- 製造に関する技術やノウハウを蓄積するのが難しい
- OEM契約に下請法が適用される可能性がある
- 契約を継続する場合は、随時契約内容をチェックする
OEMメーカーに依存しすぎないよう、製造技術やノウハウを蓄積する工夫が求められます。また、契約内容に問題がないかを慎重にチェックしましょう。
ここでは、OEM契約を結ぶ際の注意点について解説します。
1.製造に関する技術やノウハウを蓄積するのが難しい
OEMメーカーに製造を委託すると、技術やノウハウを蓄積するのが難しくなる点には注意がは必要です。
OEMメーカーに頼りすぎてしまうと、製造についての知識や技術力を持った人材が育ちにくくなることが考えられます。
OEMを上手に活用しながら、自社でも製造に関する情報を積極的に収集したり、社員同士でノウハウを共有したりする企業文化を醸成することが大切です。
2.OEM契約に下請法が適用される可能性がある
OEM契約には、「下請代金支払遅延等防止法」(以下、下請法)が適用される場合があります。
下請法とは、親事業者と下請事業者間の取引について、親事業者が地位を濫用することを防ぎ、下請事業者を保護するために制定された法律です。基本的に、下請事業者は親事業者よりも立場が弱い傾向にあります。親事業者によって一方的に契約を解除されたり、搾取されたりするリスクを防ぐためには、下請法によって保護することが不可欠です。
委託側と受託側で締結するOEM契約にも、下請法が適用されることがあります。その場合、契約内容が下請法に違反していないかをチェックすることが欠かせません。
下請法では、親事業者の禁止行為として以下を定めています。
- 受領拒否:注文した物品の受領を拒むこと
- 下請代金の支払遅延:代金を、物品の受領後60日以内に、期日までに支払わないこと
8 - 下請代金の減額:あらかじめ定めた下請代金を減額すること
- 返品:受領した物品を返品すること。
- 買いたたき:市場価格に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること
- 購入・利用強制:親事業者が指定する物や役務を強制的に購入・利用させること
- 報復措置:下請事業者が、親事業者の不正な行為を公正取引委員会や中小企業庁に報告したことを理由に、一方的に契約を解除したり、下請代金を減額したりすること
- 有償支給原材料等の対価の早期決済:有償で支給した原材料等の対価を、当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること
- 割引困難な手形の交付:一般的な金融機関では割引を受けることが難しい手形を交付すること
- 不当な経済上の利益の提供要請:下請事業者から、金銭や労務の提供等をさせること
- 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し:費用を負担せずに注文内容を変更する、または受領後にやり直しをさせること
契約書の雛形を作成したら、契約内容が下請法を遵守しているか、内容を見直しましょう。
3.契約を継続する場合は、随時契約内容をチェックする
契約を長期にわたって継続する場合、次第に取引内容が変わり、当初契約で決めていた内容と実態がずれてしまうことも少なくありません。
契約書が取引内容をきちんとカバーできているか、随時契約内容をチェックする必要があります。
契約内容に変更が生じた場合は、双方の同意のもと、速やかに契約書を再考しましょう。軽微な変更であれば、覚書を作成して対応できることが多いです。一方、変更内容が重大である場合は、新たに契約書を作成し、締結し直す必要があります。
OEM契約書に記載すべき条項
OEM契約書には、以下のような条項・内容を記載します。
- 商品の仕様(製品標準書)
- 発注単位
- 代金決済
- 契約期間
- 受入検査
- 商標
- 返品条件
- 秘密保持
- 解除権
- 合意管轄
- 損害賠償
- 協議事項
OEM契約を締結する前に、自社にとって不利な契約内容になっていないか、トラブルを防ぐために必要な事項が規定されているか、念入りにチェックしましょう。
ここでは、その中でも特筆すべき5つの項目について解説します。
商品の仕様
OEMメーカーに自社ブランドの商品をそのまま製造してもらうためには、商品の仕様について細かく決めなければなりません。
具体的には、以下のような仕様について定めます。
- 大きさ・容量
- 原料・成分
- 製造方法
- 商標の表示方法 など
複数の商品を委託する場合もあるため、基本契約とは別に「製品標準書」などで仕様を取り決めることもあります。
発注単位
OEM契約では、発注方法や発注時期のほか、「毎月最低200単位」のように、発注単位を定める場合があります。
発注単位を定めることで、期間ごとの最低発注量が明確化するため、OEMメーカーにとっては安定的な受注の確保が可能になります。
具体的には、以下のような項目について定めましょう。
- 基準となる期間
- 期間における発注単位
返品条件
製造を委託した商品に不具合があった際に備え、返品できる条件も定めておくことが必要です。
仕様や個数など、契約どおりに製造してもらえなかった場合、OEMメーカーは「契約不適合責任」を負うことになります。
民法では、契約不適合責任が発生した場合は、以下の方法によって責任を追求できるとされています。
- 履行の追完請求
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
また、契約不適合責任が適用される期間や、その期間をどのように算定するかも決めましょう。民法では、買主(委託側)が契約不適合責任を追求するためには、契約不適合に気づいてから1年以内に通知する、とされています。
しかし、契約不適合責任は任意規定(当事者の意思によって変更できる規定)であるため、OEM契約によって定めることで調整が可能です。
委託側にとっては、期間が長い方が有利になる一方、OEMメーカーにとっては期間が短い方が有利になります。期間や、期間をいつからカウントするのかなど、事前に協議して明確に決定しましょう。
なお、OEM契約に下請法が適用される場合、契約不適合責任を追求できるのは6ヶ月以内と定められているため注意が必要です。
秘密保持
OEM契約では、秘密保持についても定めておきましょう。契約期間中や契約期間終了後、OEMを通じてお互いに知り得た秘密情報を漏えいしないようにするためです。秘密保持契約書として、基本契約に先んじて締結する場合もあります。
OEMにおいて、委託側はOEMメーカーに対して発売前商品の細かい仕様や製造方法などの情報を提供します。同時に、OEMメーカーも委託側に対して処方や製造上情報を提供するため、お互いに営業秘密を開示することになります。重要な情報の流出や目的外の利用を防ぐためには、以下のような項目について定めましょう。
- 第三者に対する秘密情報の開示や漏洩などを禁止する旨
- 第三者に対する秘密情報の開示を、例外的に認める際の要件
- 秘密情報の目的外利用の禁止
- 秘密情報の定義
- 秘密保持が適用される期間
- 契約終了後の秘密情報の取り扱い
- 秘密情報の漏洩や目的外利用などが発生した際の対応 など
損害賠償
OEM契約中に、当事者の責に帰すべき事由によって、相手方に損害が発生した際は、損害賠償請求の対象となります。
損害賠償の範囲は、民法の原則では「相当因果関係の範囲内で損害を賠償する」と定められています。範囲は、契約によって広げたり狭めたりすることが可能です。
両社の損害賠償の範囲は対立しやすいため、交渉によって決めなければなりません。
自社に合ったOEMメーカーの選び方
自社に合ったOEMメーカーを選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
- OEMメーカーの実績や技術力は十分か
- 作りたい商品がOEMメーカーの得意分野か
- 品質管理体制やトラブル発生時の対応に問題はないか
- スムーズにコミュニケーションをとり、協力体制を築ける相手か
- 海外輸出に対するサポートがあるか(海外進出を検討している場合)
- 環境に配慮した製造を行っているか
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
化粧品OEMの選び方を完全解説!納品までの基本的な流れや具体的な探し方もご紹介
OEM契約を正しく理解してオリジナル商品を作ろう
OEM契約は、自社ブランドの商品の製造をOEMメーカーに委託する際に締結するものです。
OEM契約書では、商品の細かい仕様や発注単位、返品条件、秘密保持、損害賠償など、さまざまな事項を規定します。契約後のトラブルを防ぐためにも、締結前に、自社にとって不利な内容になっていないか、必要な条項は抜け漏れなく記載されているかをチェックしましょう。
はじめてOEMを利用する場合は、製造だけでなく、商品開発や販路拡大、契約内容に関することまで徹底的にサポートしてくれるメーカーに委託すると安心です。
中野製薬は、創業より60年間、プロフェッショナル向けの頭髪化粧品を開発・販売してきました。製品開発の豊富なノウハウと最先端の技術を有しているのはもちろん、処方や資材の検討、海外への販路拡大や販売手続きなど、化粧品づくりを徹底的にサポートします。OEMを利用してオリジナル化粧品を作りたい方は、ぜひ当社のOEM/ODM事業をご活用ください。