BEAUTY IS ART 共創アート
ワークショップ1回目レポート

共創アートとは…

ビューティの枠を超えて、ファッションという違う視点を取り入れながら、ファッションデザイナーの山縣さんや参加サロン18名と共にビューティの新たな可能性やクリエイティブ力を高めていくことが出来る長期プロジェクト。

Zoomでプレオリエンを実施していたものの、今回参加者17名(1名欠席)と講師の山縣さんが初めてリアルで顔を合わせる形となり、皆さん少し緊張した面持ちで会場に来られた。
そこで6サロン全体でコミュニケーションを図ってもらえるように、5つのグループに席替えし、自己紹介を行いながら本題へと入った。

6月15日(火) ワークショップ1回目
テーマ:「Roots&Concept」自分自身のルーツをたどり、自己分析を行う

1.「皆さん、ファッションって説明できますか?」
―実は知らないファッションの本当の意味―

ワークショップ1回目

まずは「“ファッション”っていったい何?」という問いかけから、今回のテーマであるルーツを紐解く。
チームごとのグループディスカッションを通して、一番多かったのは「“ファッション”は自己表現」ということであった。相手に対して自分をどう見せるか、どう見られたいかをファッションというツールを通して各自表現しているという。

では、現在美容師として働く上で、「“ファッション”と“ビューティ”は同じか?」という問いかけに対し、参加者全員が同じだと回答。その本質を探るべく、山縣さんからファッションについてのレクチャーが始まった。

装いは単一で決まるものではなく、複数レイヤーによって構成されている。個人や街並み、生活、時代などもそのひとつであり、社会には様々な装いが存在している。そのため、体の皮膚や髪も装いのひとつなのだ。したがって“ビューティ”も“ファッション”の一部なのだという。

2.「今この瞬間のファッションって何だと思う?」
―身近なマスクから考える、新しくファッションが動く時―

ワークショップ1回目

次に山縣さんからの「今この瞬間のファッションとは何か?」という問いかけに、参加者は着ている服の色?など様々に考えながら、最終的にマスクではないかと回答。今誰しもがマスクをしているこの状況は、ファッションの歴史として必ず残ることを山縣さんも示唆する。マスクがあることによってスタイルが制限されるなど、少なからずビューティにおいても影響を受けている。「なるほど」と参加者一同が頷く様子がうかがえた。

今全ての人がマスクをしている中で、「人と違うように見られたい」と考える一方、「人と同じようにありたい」とも考える、そんな相反する感情を抱えているという人間の本質があるのではないかと、山縣さんは続けた。「その中で自己表現をしようと思った時に、同じような装いでも少し違った表現をしたくなるもの。その人と違う装いが生まれた時こそが“ファッション”の動く時であり、そこから新たな流行が生まれるのだ」という。

この「適度に人と同じでいたい、人と同じ過ぎるのはいや」というバランスの上にファッションが成立し、その複雑なバランスの中で人は生きているという山縣氏のお話は、今の社会状況だからこそ溶け込むように理解することができ、参加者全員真剣な顔で聞き入っていた。

3.「人と同じ」や「人と違う」ってそもそも何基準?
―自己分析から自分のルーツを探り、自分を知ることが大事―

ワークショップ1回目

続いて山縣さんから、「そもそも何と比べて「人と違う」、「人と同じ」という価値観を得るのか?」という問いかけがなされた。

自分の姿を自分で確認する時は、鏡などがないと確認することができないが、「自分が思っている自分」と「他人が見ている自分」の印象は必ずしも一致しないことが多い。第三者から見た自分自身がわからないことは、時に人を不安にさせるが、ファッションで自己表現をすることはそうした不安を解消するひとつのツールとなり得る。

研修ではその後、それぞれのコアな部分を掘り下げるマインドマップの作成に入った。
本来、人は自分で全てを決めて表現しているのではなく、無意識的に周りからの影響を受けている。その影響から自身が作られていることを再認識することによって、それぞれの自己表現に繋がっていく。その無自覚的な部分を自覚することが、クリエイティブを表現する上で非常に重要となってくる。

“ファッション”は自然、文化、政治、インフラ、産業、商業―――などの様々なレイヤーの影響を受けて自己に繋がっている。つまり、自分が生まれた場所や幼いころの風景、家族、コミュニティなど、自分のことを広く細かく再認識することによって、最終的なアウトプットに繋がっていくのだ。

研修では、それぞれが自分のルーツを探るべく、マインドマップを作成しながら自分の見える化を実施していく。それらを基に次回の研修では、個人のマインドマップをプレゼンテーションしながら、サロンのマインドマップを作成していく予定。

<1回目のワークショップを終えて>

今回初めて皆さんが顔を合わせながらサロンの枠を超えてワークショップを行ったことで、 全体の一体感のようなものも生まれ、終始楽しみながら参加されており、3時間があっという間に終了した。

またファッションという新たな視点から考えるビューティや、自分自身の分析など、普段サロンワークでは考えることが少ない内容ばかりで、苦悩されていた部分もありながら、結果、新しい視点から物事を考える良いきっかけになったと感じる。

参加者からも色々なサロンと交流が出来て楽しかった、普段考えないことばかりで1回目から非常に勉強になったなど非常に良いお声をいただけた。

今後ワークショップを重ねながら勉強していき各サロンがどのようなアウトプットを作りあげていくのか今からとても楽しみである。

次回:7月6日(火)
「Design&Plan」デザインを学びながら作品作りに向けたプラン作成